合気の定義は流派によって様々となっています。
大東流には柔術技、合気柔術技、合気の技があります。
合気道の技は、大東流の流れを汲んでいて、柔術技に該当します。
植芝先生も言われる通り、合気道と大東流とは別物です。
合気道は植芝盛平先生が創始された別の武術ですから、合気道を以て大東流を学ぶことはできません。
合気道を修めた方は、大東流が別物の武術だと割り切る必要があります。
堀川幸道先生は門下生の錦戸武夫先生に、
「合気とは、気を合すること」
と説明しました。
この言葉から、武術における「気」が存在することがわかります。
そして、「気」を「合する」ことができるということも、わかります。
武田惣角先生、堀川幸道先生は、技について何も説明しませんでした。
ですからお弟子さんたちは、自分たちでいろいろ解釈しました。
合気とは円の動きだとか、呼吸だとか、瞬発力だとか、いろいろな解釈をされました。
しかし、堀川先生が説明するには、気を合するのが合気ですから、円も呼吸も関係がなさそうです。
また、力を使いませんので、座った状態でも、腰や体幹の力を伝えることをしません。
私は岡本正剛先生の映像を学生の頃に見て、錦戸師範の大東流に入門しましたが、
同じ堀川伝大東流であっても、岡本先生が作られた六方会と、錦戸師範の伝える大東流とでは術理が全く異なりました。
そして、2023年9月の月刊秘伝にて、現在の幸道会系の技が紹介されており、その術理とも異なることがわかりました。
堀川伝は、術理が少なくとも3つに分かれて伝わっているようです。
ところで、自己も他者も否定しません。
自己も他者も肯定するところです。
上記の内容は、錦戸伝ではこうしています、との意味であって、他が間違っていますよという意味ではありません。
錦戸伝では、基本技(合気柔術)は指先を使います。
堀川先生の奥様も指先を使っていた、とのことです
基本技と、気や合気とでは断絶がありますが、基本技にヒントがあります。
基本技から、相手と一体化するのではなく、相手の力を奪う、ということをします。(と錦戸師範が説明されました)
指先とか、気とか合気とか、非科学的ですが、他流にない術理は面白いところではないでしょうか。
大事なことは既存の知識で習得しようと思わないことです。
真の科学の目は、真実をそのまま受け入れて理解することではないかと思います。
合気を習得できるのは一世代にひとりと言われるくらい、困難です。
基本技は研究さえすれば習得できます。
本会の基本技は合気柔術の技を指し、基本技から練習していきます。
錦戸師範が見せた合気技の例について
・武田惣角先生がやって見せたと言われる、「腕を折ってみろ」と腕を差し出して、相手は両手で掴んだが何もできなかった逸話
合気で掴ませる方法で、両手で強く握ったのですが、何もできませんでした。
・手の平で相手の肩を押す
私は柔道経験があるので、通常は押されたぐらいでは重心が動きません。
錦戸師範に「力だとこう」と押されても私は動きませんでしたが、
「気でやるとこう」と押し倒されてしまいました。
・杖を合気で掴ませる
身動きが一瞬できなくなります。
・手の内の合気
「この技ができるとこれもできる」
と道着の袖を掴んで合気を掛けられ、投げられました。
柔道とは崩しが全く異なります。錦戸師範は
「合気は掛けるだけ」
と言われました。
・掴んで身動きできなくさせる
合気ではありませんが、手の内の合気の稽古で、手首を掴まれただけで一瞬身動きができなくなりました。
・重たい木剣を合気で振る
「木刀を合気で振る」とやって見せてもらった木剣の素振りですが、ビュンビュン振って80歳過ぎとは思えませんでした。
筋トレしている私でもできないスピードでした。
・杖合気
杖合気で投げられた後、手が杖に喰いついて離れませんでした。
・耳合気
身体をどう動かす、という問題ではなく、気を合するということが、はっきり感じられました。